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テナント退去と原状回復費用 | 気になる相場は?

2024.01.31


テナント退去をする際にはまずは何から始めれば良いのでしょうか。

退去するには様々な手続きや注意点があります。

特に退去前に必ず行う原状回復工事の費用は、契約書やテナントとオーナー同士の関係によって変化するため注意すべき点です。

そこで今回はテナントの退去と原状回復工事の費用について解説します。

テナント退去の基本情報

テナントが退去するには様々な手続きが必要になります。退去前に準備すべき事や退去を伝えるタイミングなど気を付けるべき点が数多くあります。
まずは一般的なテナント退去手続きの流れについてそれぞれ詳しく解説します。

テナント退去手続きの流れ

テナントの退去手続きは主に以下の4つの流れです。

  1. テナントは退去の意向をオーナーや管理会社に通知
  2. 契約書に基づき、退去の期限や条件を確認
  3. 原状回復工事を行い、鍵や物件の返却に関する手続きを進める
  4. オーナーや管理会社が物件の状態を確認し、問題がなければ保証金の返金や精算

このようにテナントの退去手続きは、円滑に物件を返却するために関係各所との調整を行うことが重要になります。

テナント退去通知のタイミング

テナントが退去する意向を通知するタイミングは、賃貸契約書に明記された通知期間に準拠します。

一般的には3~6ヶ月前に退去の意向を通知する必要があります。「今月で退去します」というわけにはいかないので、契約書の内容を必ず確認しましょう。

また、退去予告期間よりも前に閉店してしまった場合でも、退去予告期間の間の賃料は支払う義務がありますので注意しましょう。

退去前の準備と注意点

まず退去前には物件を入居時の状態に戻す『原状回復工事』を行なう必要があります。その際に賃貸契約書から退去に関する義務や条件を把握したうえで修繕が必要な箇所を修理することが重要です。

これらを怠ると原状回復義務の不履行とみなされ、損害賠償として補修・修復費用を請求される可能性がありますので注意しましょう。

テナント退去費用と相場について

テナントの退去には、物件を入居時の状態に戻す原状回復の費用が必要になります。この費用は契約内容や物件の状態により変化します。また、契約期間途中に退去する場合、違約金も発生する可能性があります。

以下で詳しく解説します。

テナント退去費用の相場

テナントが退去する際にかかる費用は、様々な要因によって異なります。特に物件の状態や契約内容、地域性などが影響し、清掃費用、修繕費用、原状回復費用、そして契約書に基づく違約金や残りの家賃が含まれます。

このように、清掃や修繕にかかる費用は物件の状態に応じて異なりますが、数万円から数十万円になることが一般的です。

テナント退去にかかる違約金

テナントが契約期間中に何らかの理由で予定よりも早く物件を退去する場合、違約金が発生する場合があります。通常、違約金の金額や条件は契約書で明記されており、契約違反の範囲や期間によって異なります。

多くの場合、違約金支払いの義務が生じ、目安としては賃料や共益費などの1年分程度となります。具体的な金額や条件については契約書を確認し、場合によっては法的助言を受けることが重要です。

居抜きテナント特有の退去ポイント

居抜きテナントとは、前のテナントが使用していた設備や内装をそのまま引き継ぎ利用することです。通常のテナントとは異なり、前のテナントの設備を含めて原状回復を行わなければならない場合があり、特殊な退去のポイントが存在します。

以下で詳しく解説していきます。

居抜きテナントの特殊性

居抜きテナントを借りると、前のテナントの設備や内装も含めて原状回復工事を行う必要が生じます。そのため、原状回復の範囲を把握する必要があるので、物件状態の詳細な記録や契約書の内容が重要です。

また、スムーズな退去ができるように物件の所有者との間でのコミュニケーションや合意形成をしましょう。

居抜きテナントの退去の流れ

居抜きテナントの退去を行なう大まかな流れは以下となります。

  1. 大家さんに退去意向の申し出
  2. 原状回復工事の見積もりを確認
  3. 居抜き物件の情報提供
  4. 次の借主の募集
  5. 次の借主との造作譲渡契約の締結

物件を退去するにあたって契約書の条件を遵守し、円滑に作業を進めることが重要であり、また、物件所有者とのコミュニケーションを密にし、特に大家さんへは事前に造作譲渡の許可を得ておくことをおすすめします。

居抜きテナントの原状回復費用

居抜きテナントが退去する際の原状回復費用は、前のテナントが追加した設備や内装を元の状態に戻すための費用を指します。

契約書に基づき、原状回復の範囲や責任の割合が定められ、その内容に基づいて費用が算出されます。その後、物件の所有者との合意や立会いを通じて、原状回復作業が適切に行われ、費用が決定されます。それまでにある程度は見積もりを作っておき、準備を進めましょう。

>>居抜きとスケルトンについての違いはこちら

テナント退去時のトラブルと解決策

テナント退去時に認識の違いや確認不足により、トラブルが発生する場合があります。最後にテナントとオーナーの関係などが悪くなるのは避けたいものです。

契約内容の確認や、お互いにコミュニケーションを取ることで円滑に退去できるようにしましょう。

以下で詳しく解説します。

退去時のトラブル事例

テナントの退去時には様々なトラブルが発生することがあります。

例えば、敷金の返金に関して問題が発生する場合があります。敷金は通常、解約時に必要経費を差し引いた残金が戻ってきます。そのため、敷金が全額戻ってくるという訳ではありません。

新しいテナントを借りる資金として敷金をあてにしている方は、十分注意してください。これらのトラブルは、明確な契約内容や円滑なコミュニケーションによって解決するので怠らないようにしましょう。

テナント退去トラブル発生時の対処法と予防策

トラブル発生時には、まず契約書や法的な規定に基づいて対処することが重要です。両者の懸案事項を明確にし、合意形成を図りましょう。必要に応じて専門家や法律アドバイザーの助言を得ることも有益です。

また、トラブルを予防するためには、契約書の明確な作成や、テナントとの適切なコミュニケーション、貸主の規約順守の徹底が重要です。早期の問題発見と解決策の確立が、トラブルの予防につながります。

テナントを退去させたいときはどうする?(家主目線)

テナントを退去させたい時、契約満了時か期間中によって対応が異なります。

満了時の場合は契約書通りに通知書を提示し、退去の準備をしてもらいます。一方、期間中に退去させるには契約違反等の法的な理由が必要なため、限られた方のみ実行できます。

以下よりそれぞれについて詳しく解説します。

A)契約期間満了をもって退去させたいとき(更新の拒否)

テナントを契約期間満了をもって退去させたい場合(契約更新の拒絶)、法的手続きと合意事項の確認が重要です。まずは貸主側から契約満了の1年前~6ヶ月前までに借主に対して更新拒絶の通知を出す必要があります。また、期間満了をもって契約を終了させるためには、正当事由があると認められる必要があります。(借地借家法26条1項)この正当事由が認められない限り、契約期間が設けられている場合については法律の定めにより、更新の拒絶ができませんので注意しましょう。(法定更新)

B)契約期間中に退去させたいとき(解約申し入れ)

契約期間中にテナントを退去させるには、貸主は借主に対して「解約申入れ」出す必要があります。この場合、解約申し入れから6ヶ月間が経過したときに契約は終了することになります。(借地借家法第27条1項)

ただし、解約申入れから6ヶ月経過した後も借主が建物の使用を継続している場合は、遅滞なく異議を述べることが必要となります。

また、A)と同様に「解約申し入れ」であっても正当事由が認められないと契約が引き続き存続することになります。

「正当事由」については、個人の事情が細かく検討されることになりますのでその時々でのケースバイケースの判断となりますが、弁護士でも判断が難しい場合があるので、場合によっては裁判所の判断を仰ぐこともあります。

まとめ|テナントの退去と原状回復費用を抑えるために

テナントの退去には契約条件を確認したうえでの原状回復工事、退去通知書の作成が重要になります。そのため原状回復や退去条件は書面で明確にし、双方のコミュニケーションと適切な準備が必要となります。また、原状回復工事の費用は建物の状態や契約で変動するのでそれぞれで確認し、費用を抑えるために日頃からのメンテナンスを心がけましょう。

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