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居抜き物件の造作譲渡とは?譲渡料の相場や契約書について徹底解説!

2024.09.02


居抜きの店舗物件を探す際に「造作譲渡」という用語を耳にしたことはありませんか?
造作譲渡は初期費用を抑えて開業できる魅力的なシステムですが、気を付けるポイントがたくさんあります。

ここでは、造作譲渡とは何かをはじめ、造作譲渡の対象となるもの・ならないもの、造作譲渡のメリット・デメリット、造作譲渡料の相場や造作譲渡契約書について解説します。

造作譲渡とは?

造作譲渡とは、前テナントが入居時に行った店舗内装設備(壁・床・天井・テーブル・椅子・厨房機器・調理器具等)や什器を残した状態で新たな入居者へ譲り渡すことを意味し、内装、設備、什器類が残っている物件を「居抜き物件」といいます。

前テナントと似た業態の店舗を経営したい場合、前テナントの内装や設備を残した居抜き物件を望む入居者が多いです。そういったケースでは、退去予定者(売り手)と入居者(買い手)間で交渉が行われます。
造作譲渡を行うことで、買い手へ造作物を売却することでまとまったお金を手にするだけでなく、双方にとって負担となる原状回復費用や開業の初期費用を抑えることが可能です。

造作譲渡の対象となるもの、ならないもの

造作譲渡の対象となるもの、対象外のものは以下の通りです。

対象となるもの対象外のもの
・内装
・壁
・厨房設備
・空調設備
・排気設備
・トイレ
・看板              
・リース品
・建物に付属する設備




考え方としては、
● 譲渡対象:前テナントが自身で「設置した」「作成した」「購入した」もの
● 譲渡対象外:前テナントが誰かから(どこからか)「借りた」「備え付けられた」「建物に付属しているもの」になります。

造作譲渡の対象となるもの、対象外のものに関しては、トラブルを予防するためにも事前にしっかりと確認しましょう。

造作譲渡のメリット・デメリット

造作譲渡のメリット・デメリットは以下の通りです。

【メリット】
・コストダウンが見込める
・売却益が得られる
・スムーズな閉業が可能

【デメリット】
・売却後に不備があり、損害賠償や契約解除が発生する場合がある
・貸主に承諾を得る必要がある

造作譲渡を行うことで、退去時にかかる原状回復費用のコストダウンが見込めたり、費用をマイナスからプラスに変えて差額の利益が見込めたり、閉店に至るまでの過程がスムーズにできるというメリットがあります。

一方、内装・設備・什器類の売却後に不備があり、買い手から損害賠償や契約解除が発生するというケースや、造作譲渡を行う際に物件の貸主に承諾を得る必要があるというデメリットもあります。

造作譲渡料の相場とは!無償でもらえる?

造作譲渡料は、居抜き物件に残されている内装、厨房設備、空調設備、什器、備品等の設備を新たな借主が買い取る際にかかる費用のことを指します。場合によっては、造作譲渡料金の交渉ができたり、造作譲渡料がかからず無償で譲渡してもらえるケースもあります。

ここでは、造作譲渡料の相場や交渉ポイント、無償で造作譲渡してもらえるのかについて解説します。

造作譲渡料の相場と交渉ポイント

造作譲渡料の相場は一般的に100〜300万円程度と言われています。
例えば、小規模のカフェやテイクアウト専門などの店舗は100〜200万円程度、焼肉店や中華料理屋など専用設備が必要な店舗は200〜300万円程度が一般的です。

同じ飲食店物件でも、専用設備を備えた飲食店物件の設備や什器類よりも、テイクアウト・デリバリー専門の物件の造作譲渡料のほうが安くなる傾向にあります。

また、譲渡料金の交渉ポイントは2つあります。
1.物件の明け渡し日に注目する 物件は通常、原状回復して貸主に返却しなければならないため、物件の明け渡し予定日が近づくにつれて、造作譲渡料が下がる可能性があります。

2.設備や備品の一部破損や経年劣化を理由に値引き交渉する
一見、造作譲渡予定の設備や備品に破損や劣化があると修理や廃棄の費用が必要になるといったデメリットにも見えますが、造作譲渡料の値引き交渉に使うことが可能です。

造作譲渡料が無償!?

無償造作譲渡の場合は、無料で物件の設備等を受け継ぐことができ、開業の初期費用を抑えることができるというメリットがあります。

例えば、エアコン、トイレなどといった設備が残っており、賃貸借契約を結ぶことで無償で使用できるというものです。

無償で譲り受けた造作物は賃貸借契約に関しての特約が記載されている場合があるため、しっかりと確認しておきましょう。

よくある業態の造作譲渡の相場

造作譲渡料は立地や店舗の状態、設備や什器によって変動します。好立地で人気のある物件や大型設備を譲渡する場合は高額になる傾向にあります。
一方、物件の造りや設備等に汎用性がなく古い場合は買い手がつきにくいため、造作譲渡料は安くなる傾向にあります。

例として、「飲食店の相場」と「美容室の相場」を見てみましょう。

美容室の相場

美容室の造作譲渡の相場は、300〜600万円程度です。
造作譲渡の相場は、美容室の店舗数や知名度、業績等によって変動します。1店舗のみの事業展開であれば、数百万円程度の譲渡額が一般的ですが、複数店舗を経営しているなどビジネスモデルに魅力がある場合、相場が大きく上がります。

飲食店の相場

飲食店の造作譲渡の相場は、100〜300万円程度です。
ラーメン屋や焼肉屋などの重飲食業は200〜300万円、カフェやバーなどの軽飲食業は100〜200万円が相場となります。

造作譲渡料が決まる基準とは?

造作譲渡料が決まる基準とは、「買い手がその店舗を営業すると、どのようなメリットが得られるのか」という造作が持つ「価値」が金額を左右します。

造作譲渡料が決まるポイントは4つあります。
1.集客力のある立地
繁華街やオフィス街など、人通りが多いエリアは集客力があり、価値ある立地とみなされます。

2.設備の充実度
中華料理店や焼肉店などの重飲食業は、ガス、電気、給排気設備の全てが大きいため、高価になる傾向がある一方、カフェやバーなどの軽飲食業などは造作譲渡料が安くなる傾向にあります。

3.使用できる設備が多い
開業してから営業年数が短い店舗は設備の状態が良く、問題なく使用できる状態の設備が多いため、譲渡料は高くなる傾向にあります。

4.消耗が激しいものは対象外になりやすい
テーブルや椅子などの家具、鍋やフライパンなどの一般調理器具、使い込んだ食器などは譲渡の対象外となるケースが多いです。

造作譲渡料を決めるための明確な基準はなく、売り手に決定権がありますが、双方にとって合意できる造作譲渡料を設定するようにしましょう。

造作譲渡料以外に手数料がかかる?

造作譲渡の契約を行う際に、造作を譲る側と、造作を譲り受ける側との双方が造作譲渡契約を行う業者に支払う手数料を造作譲渡手数料といい、造作譲渡料とは別に発生する費用になります。

「造作譲渡契約書」とは?契約書の内容・注意点

「造作譲渡契約書」とは、原状回復義務の有無や造作譲渡料・譲渡項目、契約不適合責任といった契約内容を明確にする書類です。契約内容を書面に記載しておくことで、譲渡後にトラブルが発生した際に、責任の所在を巡ってトラブルになる事態を防ぐことができます。

造作譲渡契約書の契約書に記載する内容と注意点については以下で解説しますので、ぜひご一読ください。

造作譲渡契約書の項目内容

造作譲渡契約書に記載する一般的な項目内容は以下の通りです。
・譲渡する造作物のリスト
・造作譲渡料
・支払い方法
・支払い期日
・造作物引き渡し期日
・支払いが遅延した場合の対処方法
・退去時の原状回復の有無や原状回復を求める範囲
・契約解除の条件
・契約解除やキャンセル時の違約金について
・契約不適合責任について
・物件の貸主が承諾している旨

契約書作成時のポイント

契約書作成時のポイントは以下の通りです。
・物件所有者・貸主の承諾
・リース品の取り扱い

物件自体は貸主の所有物であるため、「貸主が造作譲渡契約を承諾している」ことが必須となります。そのため、造作譲渡契約書にも所有者・貸主の承諾を得ているかを明記する必要があります。

造作物の中にリース品がある場合は、どの造作物がリース品なのか明記しましょう。リース品を譲渡した場合は、残債の支払い方法についてしっかりと記載しましょう。

まとめ|造作譲渡でコストを抑えて開業を!

造作譲渡は貸主の承諾を得る必要があるものの、前店舗の内装や設備を残した状態で初期費用のコストを抑えて開業できるという大きなメリットがあります。

造作譲渡取引には内装や設備に不具合が見つかる、造作物の中にリース品が含まれているのを知らなかったなど様々なトラブルがありますが、万が一に備えて、造作譲渡契約書を作成し、記載内容をしっかりと確認することでトラブルを予防することは可能です。

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