居抜き物件・居抜き店舗・貸店舗での開業ならテンポスマート

役立ち情報 店舗開発に必要な情報を集めた 居抜きコラム

テナント賃料になぜ消費税はかかるのか?|課税対象を詳しく解説

2024.04.30


物件の貸主からテナントを借りて事業活動をする際に対価として支払うテナント賃料ですが、なぜ消費税がかかるのかご存知でしょうか?

この記事では、テナント賃料に消費税がかかる理由をはじめ、消費税課税対象となるものとならないもの、テナントの賃料の消費税におけるインボイス制度について、不動産オーナー向け消費税の豆知識についてご紹介します。

テナント賃料に消費税がかかる理由

テナント賃料に消費税がかかる理由は、「サービス・役務の提供」という事業の対価にあたるため、消費税の課税対象に含まれるからです。

2019年10月1日の消費税法改正以降、テナント賃料の消費税率は10%と定められており、事業目的でテナントを借りる場合、借主が法人・個人に関わらずテナント賃料に消費税がかかりますので、しっかりと確認しましょう。

テナント契約で消費税がかかるもの・かからないもの

テナント契約で消費税がかかるもの・かからないものは以下の通りです。

消費税がかかるもの消費税がかからないもの
・前家賃・敷金
・礼金・保証金
・共益費 
・管理費 
・更新料 
・更新手数料 
・仲介手数料 
・駐車場代 

消費税がかかるもの

テナント契約時に消費税がかかるものは以下の8点です。

・前家賃
・礼金
・共益費
・管理費
・更新料
・更新手数料
・仲介手数料
・駐車場代

基本的に事業用の賃貸契約では、費用として支払うものには全て消費税がかかりますので、しっかりと契約書を確認しましょう。

<よくある見落とし点>中途解約時の違約金には消費税はかかる? 

賃貸借契約満了前の中途解約の場合は、数ヶ月のテナント賃料を違約金として請求されることが一般的ですが、消費税の取扱いは損害賠償(逸失利益の補填)となるため、消費税の課税対象外となります。

また、賃貸借契約終了後も退去しない場合は、割増家賃として請求されるのが一般的で、消費税の取扱いは契約期間延長による家賃となるため、消費税の課税対象となります。

消費税がかからないもの

消費税がかからないものは以下の2点です。
・敷金
・保証金

敷金・保証金など将来返還する予定のあるものは「預り金」のため消費税非課税となります。また、契約時に必要となる契約書印紙代も非課税となります。

ただし、敷金・保証金は「契約年数に合わせて償却する」という契約の場合は、償却分は返金されず支払うかたちになり、消費税がかかりますので契約書をしっかりと確認しましょう。

テナントの修繕積立金は課税対象になる?

テナントが入居しているビルの建物、壁、屋上、エントランスなど共用部分の修繕に備えて毎月積み立てる修繕積立金の消費税の取扱いは、消費税課税対象外となります。

修繕や管理業務を発注しているのは管理組合であるため、区分所有者はテナントの借主から徴収した修繕積立金を管理組合へお金を預けているということになります。

したがって、支払いに対価性がなく消費税課税対象外となります。

テナントの賃料の消費税におけるインボイス制度

2023年10月1日から施行開始したインボイス制度にて、テナントの賃料の消費税はどのような扱いになるのでしょうか。

まず、原則として取引の都度、領収書や請求書が交付されない取引であっても、インボイス(適格請求書発行)の保存がないと、仕入税額控除を受けることができないため注意が必要です。

テナント賃料に消費税が含まれており、テナント賃料の請求書とは別に発行される請求書に消費税の記載がある場合は、賃料と消費税を合算して支払うこととなります。

一方、請求書に消費税が含まれていない場合は、別途計算や支払いが必要な場合があります。

取引先へ口座振込や口座振替をしている場合で、賃料の取引が確認できる請求書や領収書を受領・保存している場合はインボイスの記載事項があれば仕入税額控除を受けることが可能です。

一方、賃貸借契約書を締結しているものの、請求書や領収書を受領・保存していない場合は、インボイスの交付・保存がないと仕入税額控除を受けることができませんので注意しましょう。

また、貸主に支払ったテナント賃料に含まれる消費税は、仕入税額控除の対象となるため、売上にかかる消費税から差し引くことが可能です。

不動産オーナー向け消費税の豆知識

不動産オーナーが知っておくと役立つ消費税に関する豆知識はいくつかあります。

消費税に関する法改正や税制の変更などがあった場合は、最新の情報を確認することが重要です。

ここでは、テナントから受領する電気代の消費税の扱いを始め、オーナーが簡易課税を採用している場合の対応、賃料の消費税の表示は内税・外税のどちらになるのかについてご紹介します。

テナントから受領する電気代の消費税の扱いはどうなる?

テナントから受領する電気代の消費税の扱いは、課税売上に該当するため消費税の課税対象となります。
ただし、請求する電気代の算出方法等で課税の取扱いが異なりますので注意が必要です。

例えば、テナントへの請求金額が各電気メーターの検針結果を元に算出された金額で、オーナーが受領した電気代を預り金として処理している場合は、消費税の課税対象外となります。
一方、毎月の電気代を定額請求している場合や、電力使用量に応じた手数料を上乗せして請求している場合は、消費税の課税対象となります。

オーナーが簡易課税を採用している場合

簡易課税制度とは、消費税の納税額を計算する方法のひとつで、事業者の納税負担の軽減を図ることを主な目的とした制度です。

オーナーが簡易課税制度を採用している場合は、通常の一般課税方式とは異なり簡略化された取引や計算が行われます。
簡易課税を採用した場合の納付税額は、売上に係る消費税額の60%ということになり、経費割合が40%未満となる場合は、納付税額を減らすことができます。

また、インボイス制度については、一般課税の仕入税額控除に影響を与えるもので、簡易課税制度への影響はありませんので、適格請求書の交付・保存および確認は不要です。

賃料の消費税の表示は内税?外税?

飲食店のメニュー表記や商品の値札など不特定かつ多数の消費者に誤解を与えないようにするための対策として消費税を含む内税での総額表示が義務となっています。

一方で、物件オーナー(貸主)とテナント(借主)の事業者間の取引は、消費税を含まない外税表示でも問題ないとされています。

理由は、総額表示の義務付けは「不特定多数の人」に向けた価格表示を対象としており、
見積書、契約書、テナント賃料等の請求書は、「取引相手が特定」されており総額表示の対象外だからです。

そのため、賃料の消費税の表示は内税・外税のどちらでも問題ありません。

まとめ|テナント賃料の消費税について理解した上で契約しよう

貸主や不動産会社から物件を借りて事業活動を行う際の対価として支払うテナント賃料には消費税が10%課税されます。
しかし、消費税が課税されることを知らないと早い段階で計画や経営の見直しをするケースも珍しくありません。

そうならないためにも、消費税課税対象となるもの・ならないものや中途解約時の違約金は消費税課税対象になるのか、インボイス制度などについてしっかりと理解しておくことが大切です。

会員登録・ログイン