店舗やオフィスの移転・退去時に必要となるスケルトン工事ですが、「そもそもなぜスケルトン工事を行うのか?」「スケルトン工事費用を安くすることはできるの?」と考えたことはありませんか?
この記事では、スケルトン工事の基礎知識をはじめ、スケルトン工事を行うメリット・デメリットから業種ごとのスケルトン工事費用相場、スケルトン工事を安くする3つのコツについて解説します。
そもそもスケルトン工事とは?
スケルトン工事とは、床、天井、外壁、什器、備品、配線に至るまでのすべてを解体し、建物の構造体である基礎部分や柱だけの状態にする工事のことです。
テナントにおける原状回復では、汚してしまった箇所や壊してしまった箇所はもちろん、借主側で手を加えた箇所は全て元通りに戻して貸主に返却する義務が発生します。
しかし、「費用を負担してまでスケルトン工事を行わなくても良いのでは」と考える方もいるでしょう。
スケルトン工事が必要な理由は、多くのテナント物件がスケルトン物件で契約終了時には原状回復を義務付けているからです。
そのため、テナント入居前がスケルトン物件の場合は、退去時にはスケルトン工事を行い、スケルトン物件に原状回復させる必要があります。
スケルトン工事のメリット・デメリット
スケルトン工事のメリット・デメリットをしっかりと把握しておくことで、適切な物件を選ぶことができるでしょう。
スケルトン工事のメリット・デメリットについて解説します。
◼︎スケルトン工事のメリット
・内装やレイアウトを自由に設計できる
スケルトン工事の最大の魅力は、内装やレイアウトを自由に設計できる点です。
店舗やオフィスのテーマ・コンセプトに合わせた空間をつくることができるため、顧客に対してブランドイメージを強く打ち出すことが可能です。
室内はコンクリート打ちっぱなしの状態のため、内装やレイアウトを自由に設計できることは大きなメリットといえるでしょう。
・設備トラブルが発生しにくい
居抜き物件の場合、既存の設備を使用しなければいけないため、排水溝の詰まりや設備が正常に動かないなどの経年劣化が原因となる故障やトラブルも少なくありません。
しかし、スケルトン工事を行うことで、新たに購入した設備を搬入できるため、設備トラブルが発生しにくいです。
・業種に合わせた環境が作れる
居抜き物件の場合、元々の構造、設備や什器・備品の配置が業種によっては使いにくいと感じるケースがあります。
スケルトン工事を行うことで、業種に合わせてデザインや設備選びができるほか、専門業種ならではの設備も設置可能です。
業種に合わせた環境を作ることで、客足の増加につながるだけでなく、従業員の作業効率を上げるために動線を意識した作りにするなど、快適に過ごせる店舗を作ることができます。
◼︎スケルトン工事のデメリット
・高額な工事費用がかかる
スケルトン工事の大きなデメリットは、高額な費用がかかってしまう点です。
内装やレイアウトを自由に設計できる反面、内装を解体するとなると工事日数がかかるため、工事費用が高額になることがあります。
・初期費用や補修費用がかかる
スケルトン工事は、内装や必要な設備をすべて一から揃える必要があります。
そのため、内装に使用する材料のグレードを上げたり、揃える設備が多ければ多いほど初期費用がかかります。
また、年数が経過したテナント物件の場合は、破損した箇所が見つかることもあり、老朽化を防ぐためにも補修をしておく必要があるため注意しましょう。
・工事期間が長い
スケルトン工事は工事内容が多岐にわたるため、工事期間も2週間〜1ヶ月と長くなります。
入居しているテナント物件の構造が複雑な場合や、撤去・搬入する設備が多い場合は、それに応じて期間が延びやすいです。
業種別|スケルトン工事費用の相場
スケルトン工事の一般的な相場は業種によって異なりますが、1坪あたり3万円〜5万円です。
入居している店舗の階数や撤去する設備が多い業種は、1坪あたり10万円近くになるなど費用が高額になるケースがあります。
今回は以下の業種ごとのスケルトン費用の相場について解説します。
・飲食店
・美容院・サロン
・オフィス
詳しく解説します。
飲食店
飲食店のスケルトン工事費用は1坪あたり3万円〜5万円です。
10坪のテナント物件の場合、工事費用は30万円〜50万円となります。
飲食の種類や店舗形態によって費用相場が大きく異なります。
例えば、大型・専用設備を設置している場合やこだわった内装の店舗の場合は、スケルトン工事費用が高くなる傾向になるため注意が必要です。
美容院・サロン
美容院やサロンは撤去する設備が多いため1坪あたり10万円前後と費用が高額になる傾向にあります。
10坪テナント物件の場合、工事費用は100万円前後となります。
美容院はシャンプー台や給排水の撤去工事、サロンは専用ベッドや専用機材の撤去工事が必要なためスケルトン工事費用が高額になりやすいです。
オフィス
オフィスのスケルトン工事費用は1坪あたり1万5千円〜4万円です。
10坪のテナント物件の場合、工事費用は15万円〜40万円となります。
オフィスは設備が少なく工事もシンプルな内容のため比較的安価でスケルトン工事を行うことができます。
スケルトン工事を安くする3つのコツ
スケルトン工事を安くするコツについて以下の通りに解説します。
・相見積もりを取る
スケルトン工事を行う業者を選ぶ際は、一つの業者だけでは見積もりの金額が安いのか高いのか比較できないため、複数の業者から相見積もりを取るようにしましょう。
複数の業者に見積もりを出すことで工事費用を比較できるうえ、企業間で価格競争が発生し、安く依頼できる可能性が高くなります。
・保健所に相談する
スケルトン工事を行う前に、必ず店舗運営のために必要な許可を確認するために保健所に相談しましょう。
相談する前に工事に着手してしまうと、基準を満たさないうえに営業許可が降りず工事が無駄になってしまう可能性があります。
保健所は内装がおしゃれかという点ではなく、衛生上の問題がなくサービスの提供ができる環境なのかを調査するため、工事前に必ず相談しましょう。
・最適な工事業者を選ぶ
スケルトン工事を依頼する際のポイントは、「スケルトン工事の実績があるか」や「建築許可や産業収集運搬の許可があるか」が重要です。
スケルトン工事の実績が多い業者ほど解体作業がスムーズで、近隣の方に対して配慮ができ工事中のトラブルも少なく安心して作業を任せることができます。
また、スケルトン工事後に廃棄物の処理を行うことになるため、適切な方法で産業廃棄処理を行う業者か確認しましょう。
中には不法投棄や不正ルートで処理を行う業者も少なからず存在します。
業者の不法投棄や不正ルートでの処理が発覚すると依頼主にも影響を及ぼすため、無用なトラブルに巻き込まれないためにも許可証までしっかりと確認すると良いでしょう。
工事費用が相場より高いと感じたらどうする?
業者から渡される見積もりに記載されている工事費用が相場よりも高いと感じる方や、適切な金額設定なのか判断しにくいと感じる方もいるでしょう。
実は、業者が最初に渡される見積もりは実際の工事費用より高く設定していることがあります。
初めての見積もりが高くなる理由は、テナント物件の状態を確認する前に細かい傷や汚れがある前提で見積書を作成しているからです。
あらかじめ見積もりを高く設定しておくことで後から費用がかさんで高額になるのを避けています。
相場よりも高いと感じたとしても、冷静に業者の話を聞いて判断するようにしましょう。
まとめ|適切な費用でスケルトンにしましょう!
スケルトン工事は店舗やオフィスの移転・退去の際、契約書に『スケルトン工事をしてテナント物件を返却する』旨の記載がある場合は必ず行う重要な工事です。
スケルトン工事を依頼する前に、相見積もりを取って工事費用を比較し、実績が豊富で適切な方法で産業廃棄処理を行うなど安心して任せられる業者であるかどうか必ず確認しましょう。